江戸も現代も変わらない、陰惨な児童虐待「御宿かわせみ 鬼女の花摘み」

本作は、かわせみシリーズの三十冊目。

子供世代が主人公の話も増え、かわせみ世界がどんどん広がっています。

表題作も、少年二人が主人公。

しかし内容は、現代にも繋がる悲惨な児童虐待がモチーフ。

主人公と親友の息子、麻太郎と源太郎は「お神酒徳利」と呼ばれるほどの仲良し。

二人は大好きな東吾に、花火に連れて行ってもらいますが、そこで幼い姉弟を見かけます。

汚れた身なりで、ひどくお腹を空かせている様子。

少年達は、大福餅をさりげなくご馳走します。

そこに現れたのが、母親と、その内縁の夫。

飛びついた幼い弟を、いきなり足蹴にした男を目撃し、麻太郎達は強い不信感を募らせます。

それから気をつけていると、男は恋人の子供である姉弟に、酷い虐待をしている模様。

線香の火を体に押し付けたり、殴ったり。

麻太郎達の訴えに大人達も動きますが、親達は尻尾を掴ませません。

また、なぜか母親が恋人の肩を持ち、実の子供達を少しも庇おうとしないのも不思議。

奉公に出すには幼過ぎるし、他人の家の中に踏み込むのは、なかなか難しい。周りが手をこまねいている中、とうとう悲惨な事件が……。

現代にもそのまま通じるような、リアルな事件です。

なんとか子供を救えなかったのか。かわせみには珍しい、後味の苦い話でした。