明治のかわせみ、二冊目です。
身分制度がなくなったことで不幸になった、女性の悲劇を描く「士族の娘」と、「西洋宿館の亡霊」が印象的です。
後者は、るいの娘千春が、とうとう麻太郎の出生について知ってしまう、重要なエピソード。
仏壇の掃除をしていた千春は、父・東吾が母へ宛てた遺言書を発見しました。
それを読んだ千春は、血の繋がらない従兄だと思っていた麻太郎が、実は腹違いの兄だと知ります。
秘かに、彼に恋心を抱いていた千春はショックを受け、麻太郎に会う為、家を飛び出して横浜へ。
途中で出会った麻太郎の親友・源太郎と向かった横浜で、二人は東吾の名を口にする、見知らぬ中年女と遭遇します。
怪しいと思いつつ、生死不明の東吾の行方を求め、女に同行する二人。行き着いた洋館には、美しい女性が……。
懐かしい人々が登場する一方、陰謀に巻き込まれて、手違いで毒を飲んでしまった千春。
同じ頃、千春達を探して麻太郎も洋館を目指していました。
倒れた千春は助かるのか。
そして、誰が何の為に、東吾の名前を餌にして、中年女を誘き寄せたのか。
騒動を通じて、麻太郎への想いをなんとか整理した様子の千春。
対して麻太郎のほうは、あくまで彼女を「妹」として愛しているのが判明します。
千春には気の毒だけど、これが一番良いような気が……。
それにしても、東吾は生きているのか、もうこの世の人ではないのか。
希望を捨てきれず、帰りを待つ皆の姿が、なんとも切ないです。