本作は、御宿かわせみシリーズの十八冊目です。平岩弓枝先生著。 主人公の重大な秘密が明かされる、表題作も良いのですが……。 個人的に印象に残ったのは、収録作の中の「松風の唄」でした。 時は幕末。 主人公の東吾が、通い始めた射撃の訓練場で出会ったのは、足の悪い初老の武士・川上武八。 見事な銃の... Read More
妻の仇討ち「新・御宿かわせみ お伊勢まいり」
明治のかわせみ、六冊目です。 五冊目、七冊目は正直、あまりピンとこない内容でしたが……本作は、とても面白く感じました。 かわせみ初の、長編作品ですし。 タイトル通り、るいさん達がお伊勢まいりに行くお話です。 台風のせいで建物が壊れ、修理の為に休業することになった、かわせみ。 そこにやってき... Read More
若者達から、老婆へのサプライズ「新・御宿かわせみ 蘭陵王の恋」
明治のかわせみ、四冊目です。 千春のお婿さんが登場する巻ですが、私のイチオシは「姥捨て山幻想」。 かわせみに、信州の山奥から東京見物の一行が宿泊します。 女中のお晴は、その中の小柄な老婆が、少し気にかかります。 決して貧しくないのに、他の人のように大量の土産物を買っていない。彼女が買い求め... Read More
花世の嫁入り「新・御宿かわせみ 花世の立春」
明治のかわせみも、本作で三冊目。 今回は、亡き源三郎の息子・源太郎が、長年の恋の相手・花世と祝言を挙げます。 小さい頃から名コンビだった二人。江戸時代なら身分差があり、決して夫婦になれなかったけれど、明治の今なら問題ありません。 維新の、良かった点ですね。 人によっては、維新のせいで不幸に... Read More
ついに出生の秘密が……「新・御宿かわせみ 華族夫人の忘れもの」
明治のかわせみ、二冊目です。 身分制度がなくなったことで不幸になった、女性の悲劇を描く「士族の娘」と、「西洋宿館の亡霊」が印象的です。 後者は、るいの娘千春が、とうとう麻太郎の出生について知ってしまう、重要なエピソード。 仏壇の掃除をしていた千春は、父・東吾が母へ宛てた遺言書を発見しました... Read More
新時代の始まり「新・御宿かわせみ」
御宿かわせみシリーズ、新たな「明治編」の始まりです。 時代は既に維新を終え、明治へ突入済み。 成人した麻太郎(前作主人公の息子)が、イギリス留学から帰国した場面から始まります。 従妹の千春と再会し、無事を喜び合う二人。かわせみメンバーもほとんどが健在ですが、そこに大黒柱である東吾の姿はあり... Read More
江戸時代の終わり「御宿かわせみ 浮かれ黄蝶」
かわせみシリーズも、三十四冊目の本作でおしまい。後に明治編が始まりますが、無印シリーズは今作までなので、なんとも淋しいです。 収録作の中で特に印象的なのは、「清水屋の人々」。 るいさんの茶道の同門に、清水屋という料理屋の、嫁と姑がいます。二人は険悪な仲で、姑が人前で嫁を笑い者にしたり、周り... Read More
お晴登場「御宿かわせみ 小判商人」
御宿かわせみの三十三冊目。 贋金造り一派と戦う表題作も良いですが、新レギュラー・お晴登場の「稲荷橋の飴屋」もオススメ。 お石が寿退職したので、お吉の姪の紹介でやって来たのが、まだ十四歳のお晴。 天涯孤独だけど、頑張り屋のお晴は、主人の娘である千春と早速馴染みます。 千春のお稽古の供になった... Read More
お石の幸せを願って「御宿かわせみ 十三歳の仲人」
かわせみシリーズも、終盤に近付いてきました。三十二冊目の今回は、レギュラーメンバーのお石に大きな転機が……。 山猿と言われたのは既に昔、明るく気立ての良い、器量よしの娘に育ったお石ちゃん。 そんな彼女に、大店の息子から嫁に来て欲しいと話が……。 先方は乗り気ですが、お石はまだ色恋に奥手なの... Read More
姉妹でも違う人間「御宿かわせみ 江戸の精霊流し」
御宿かわせみシリーズの、三十一作目です。 「野老沢の肝っ玉おっ母」は、かわせみメンバー・お石ちゃん絡みのお話。 かわせみで働くお石のもとに、彼女の姉が訪ねてきます。 お石は、頑張り屋で素直な良い子。かわせみスタッフは、似たタイプを想像していましたが、姉は全く違うタイプ。態度が悪く、ロクに敬... Read More