かわせみシリーズの、二十八冊目です。
表題作の他、私が特に好きなのは「梅屋の兄弟」。
主人公の東吾は法要の帰り、ならず者達が薬屋で嫌がらせをしているのに遭遇します。
そいつらをアッという間に蹴散らし、店の者達に感謝される東吾。
娘の言葉から、店主の弟が、兄の店に嫌がらせをしていることを知ります。
その場限りかと思いきや、後日墓参りに行った先で、梅屋の兄弟が争っている場面に遭遇します。
腹違いの弟が、暖簾分けした兄に、何かと嫌がらせをしている様子。
その原因は、弟の娘が兄の息子に振られたことらしいのですが……。
さらに後日、自殺を図った娘が、小舟ごと流されているのを助けた東吾。
追ってきた男女の話で、自殺を図った娘が梅屋の弟の子と知ります。
そして、兄の息子とは両想いだったこと。なぜか彼から、別れを切り出されたことも。
手当ての甲斐なく娘は命を落とし、恋人だった従兄も自ら死を選びます。
全てが終わった後、事情を知った東吾。
実は従兄妹同士とされていた二人は、異母兄妹でした。
父親が、弟の妻と間違いを犯して子が産まれたのです。
兄妹では夫婦になれないと、辛さを隠して別れを切り出した息子。
自分も麻太郎という隠し子を持つ東吾は、いつか同じことが起きるのでは、と愕然とします。
それにしても、親の行いで不幸になった子供達が気の毒です。