姉妹でも違う人間「御宿かわせみ 江戸の精霊流し」

御宿かわせみシリーズの、三十一作目です。

「野老沢の肝っ玉おっ母」は、かわせみメンバー・お石ちゃん絡みのお話。

かわせみで働くお石のもとに、彼女の姉が訪ねてきます。

お石は、頑張り屋で素直な良い子。かわせみスタッフは、似たタイプを想像していましたが、姉は全く違うタイプ。態度が悪く、ロクに敬語も使えません。

姉は、結婚した男に騙されていた、離縁したいと訴えます。

立派な店で働いているという話だったが、実際には屋台勤め。

自分も毎日手伝いで、長芋の皮剥きばかり、もうウンザリだと。

そうは言っても、合意の上で結婚した訳だし、小さい子供もいる。周囲はそのうち上手くいくだろうと見守りますが、ある日、夫婦がいなくなったとの知らせが……。

住んでいた長屋はもぬけの殻。

心配するお石は、東吾と共にお石の故郷へ向かいます。

そこにいたのは、お石の老いた母親と、亭主の育ての親である老住職。

亭主は幼い赤ん坊を預けて、働きに戻ったとのこと。姉は貧乏暮らしを嫌って行方不明。

いきなり孫を押し付けられた老母を、お石は心配しますが、母はまったく動じません。

孫を育てるのは当たり前、子の不始末は、親が引き受ける、と割り切っています。

和尚も、一度子供を預けた者は迎えに来ない、自分達が育てると言い切ります。

あまりにも懐が深い老人達と、自分勝手な若者達の対比が鮮やか。

その後、東吾達はお石の姉夫婦をみかけますが……姉妹でも全く違う人間なのだ、と、そっと視線を外すのでした。