江戸時代の終わり「御宿かわせみ 浮かれ黄蝶」

かわせみシリーズも、三十四冊目の本作でおしまい。後に明治編が始まりますが、無印シリーズは今作までなので、なんとも淋しいです。

収録作の中で特に印象的なのは、「清水屋の人々」。

るいさんの茶道の同門に、清水屋という料理屋の、嫁と姑がいます。二人は険悪な仲で、姑が人前で嫁を笑い者にしたり、周りも眉をひそめています。

肝心の師匠の前では猫を被っているので、止める者もおらず……。

るいさんは心配しますが、ある日取り返しのつかない騒動が……姑のせいで嫁が流産し、養子である亭主は家を出る決意をします。

そんなある日、師匠と共に清水屋を訪ねたるいさんは、舅が家族を刃物で襲っている場面に遭遇します。妻である姑も、息子夫婦や孫達も死んだり、重症を負ったり。

息子を振り切って孫に斬りかかろうとする舅に、心張り棒を握って対峙する、るいさん。

「俺の孫や子だ、生かすも殺すも俺の自由だ」

と叫ぶ舅に、凛と言い返す、るいさん。

「死にたいなら、勝手に死になさい。どれも大切な命、巻き添えは許しません」

と。華奢な女性ながら、許せない行動にはしっかり

「否」

と告げるるいさんは、なんとも頼もしいです。すぐに助けが来て、るいさんが守った少年は助かりました。

しかし、姑や孫娘など、帰らない人達も。

舅は店が潰れると悲観して、凶行に及んだとか。

自分が妻の嫁いびりを止められなかったせいじゃないか、と周囲は怒りますが、るいさんは内心で、嫁にも姑にも、足りない部分があったのではないか、と思います。他人が集まって家族になる難しさを感じるお話です。